意外と知られていない手根管症候群とは?

「手根管症候群とは?」

【手首・肘】手首が痛み押さえる女性(アップ)

 

手のしびれがひどく夜中に起きてしまう、指が痛くしびれもある、といった症状をお持ちの方、それは手根管症候群かもしれません。

 

皆さんこんにちは!名古屋市天白区のそら整体院です。今日は意外と多い「手根管症候群」という症状についてお話していきますね!

 

手根管症候群というと聞き慣れない病名なので違和感を覚えるかもしれませんが、実際にはかなりの数の患者さんがおられます。

 

  • 手根管症候群とは?

 

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)とは正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)とも言われます。

手首の骨と靱帯の間にある手根管という管を通っている正中神経が圧迫されたために起こる症状です。

 

原因ははっきりとはしていません。

手や手首を酷使したため、妊娠期によるむくみ、腫瘤ができたり骨折した時に神経が圧迫されたためや、血液透析をしている人の場合はアミノロイドという物質が沈着して起こることもあり、何か一つの原因で起こると結論付けられません。

また、糖尿病や、甲状腺機能低下症、リウマチや自己免疫疾患の症状としても現れることがあります。

腱鞘炎と間違えやすい症状にもなります。

圧倒的に女性に発症することが多いため、女性ホルモンとの関連も疑われています。

 

  • 手根管症候群の症状は?

【手首・肘】手首が痛み押さえる女性

初期症状として多く見られるのは、人差し指と中指を中心としたしびれで、そのしびれは親指や薬指にまで広がる場合もあります。

特徴的なのは手根管症候群の場合、小指はしびれません。

また手のひら側はしびれますが、甲の部分はしびれません。

 

特に朝しびれや違和感を感じます。

ひどい場合は夜にしびれや痛みを感じ起きてしまうこともあります。

痺れている部分をマッサージしたり、手を振ったりしているとましになってくるのも特徴です。

 

その後、症状が進んでくると親指の付け根の筋肉が衰えてきて、何かをつかんだり力を込めたりという作業ができなくなります。

特徴的なのは、いわゆるオッケーサインができなくなります。

 

  • 手根管症候群の診断とは?

 

まず、問診でしびれの範囲などしびれの特徴から判断します。

ティネル徴候(手根管の部分を診察用ハンマーで軽く刺激し、しびれ具合を見る方法)とファーレン徴候(胸の前で指を下に手の甲と甲を合わせたときにしびれが強まるかを見る)が主な診断基準になります。

 

そしてさらに、神経伝導速度検査という、電気刺激により手根部の神経の流れが悪化しているかどうかを見極める検査もあります。

MRIや超音波検査で神経の圧迫やむくみがあるかを確認することでより正確に診断がなされます。

 

問診だけでなく、詳しく検査をしていくことは非常に大切です。

というのも、実際に手根管症候群を患っている方の中で頸椎症と診断されている方がかなり多いのです。頸椎、脊椎は年齢とともにどうしてもゆがみが出ます。

 

そのため、手のしびれの原因が脊椎にあると勘違いされやすいのです。

しかし、手根管症候群の場合は、手根管の治療に早く取り掛かればそれだけ早く回復していく見込みがあります。

いずれにしても早期発見が大切です。

 

 

  • 手根管症候群の治療法とは?

 

手根管症候群の治療の第一概念は安静です。

ほとんどの場合手や手首を酷使したことで生じるものですし、神経が圧迫されることで痛みやしびれが出ます。

ですから、できるだけ休ませてあげることが大切です。「シーネ」という固定具、腰痛時のコルセットのようなものを使用し、固定して安静にする方法もあります。

そして、痛みを解消するために鎮痛薬が処方されます。

ボルタレンやロキソニンが処方されることがほとんどです。

胃薬も同時に処方されます。

またビタミンB12などの飲み薬が処方されます。

湿布薬などで痛みや炎症を鎮めることもあります。

 

局部を安静にし、抗炎症、鎮痛剤を処方するとともに、多くの場合は腱鞘炎を抑えるために、手根管内の腱鞘注射などを施し様子を見ていきます。

ステロイド剤を直接手根管に注射する際に神経を刺激してしまったり傷つけてしまう恐れもありますから、慎重な判断になるでしょう。

 

手根管症候群の進行程度(手や指を動かすことが困難、親指の根元の筋肉がやせてしまっている、手や指の感覚がほとんどマヒしているなど)や、腫瘤の有無により手術療法が選択肢に入ってくることもあります。

内視鏡を使った鏡視下手根管開放術や直視下手根管開放術が基本的な手術法になります。

 

 

  • まとめ

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手根管症候群は原因が特定されず、特に中高年の女性に発症することが多いことから、かなり悪化してから病院で診察を受ける患者さんが多いことが特徴です。

「疲れたのかな」とか、「手を使いすぎたのかもしれない」と様子を見る方が多いようです。

また、女性ならではのホルモンバランス崩れに伴う頭痛やめまいなどと勝手に関連付け、ホルモンバランスの崩れの症状の一つであると思ってしまうこともあるようです。

しびれに体が慣れてしまい、ましになってきたと感じ放置する方もおられます。

 

しかし、手根管症候群は神経が圧迫されしびれや痛みが引き起こされています。放置すればするほど悪化させるだけですね。

ですから違和感を感じたときには出来るだけ早く診察を受けるようにしてくださいね。